とにかくしんどい、吐いてばかりで何も食べられない、ものすごく熱が上がる、一歩足りとも動けない、体中が痛い、手足の感覚がない、働くなんて冗談じゃない、医療費はどうすればいいの!?そんな状況に陥ることもありえるのです。たむらあやこ『ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!』を読んでみました。
人は誰しも病気にかかる可能性があります。そして、かかった病気が、とんでもない難病だったということもありえます
これは、准看護師として働いていた筆者が、上に書いたような状況に陥る、国指定の難病であるギランバレー症候群を発病し、二年間に渡る闘病、そして現在にまで至るリハビリを描いたエッセイ漫画です。
ギランバレー症候群とは、風邪などのあと、自分の抗体が自分の神経を攻撃することで起こる自己免疫疾患です。軽い手足の麻痺から後遺症が残るものまで個人差が大きく、作者はかなり重症のタイプでした。そのため、闘病生活がとにかく凄まじいです。高熱と全身の痛み、手足の感覚の消滅、吐き気で何も食べられない、67kgから35kgまでの体重減少、二年寝たきり、体を起こすだけで低血圧で失神など、枚挙に暇がありません。
けれど、全てのエピソードにパロディ絵が仕込まれていて(普通の絵もかなり上手い)、描き方もギャグとユーモアにあふれているため、かなりすんなりと読めます。
しかし、同時に闘病生活の辛さも伝わってきます。また、二年間ほぼ寝たきりだったため、自力でトイレに行けることを目標に始めたリハビリの大変さも、ものすごいです。なにせ、車いすに座っていても低血圧で失神するうえに、手足の感覚がないのですから。立ち上がるだけでもとんでもない苦労が伴うのです。ここまで辛い闘病生活は、大野更紗の難病エッセイ『困ってるひと』に匹敵します。
辛い闘病、そしてリハビリに耐え続けなければいけない毎日
そんな彼女を支えたのが、絵を描くことでした。ネタバレになるので避けますが、彼女はリハビリ中に自分の絵に関して重大なショックを受け、それから絵を描くことにそれまで以上に執着するようになります。
彼女の父はギャンブラーで、家は借金まみれ、そのため彼女は人生の節目節目で諦めざるをえない事柄が多かったのですが、このことで彼女は自分にとって絵を描くことがどれだけ自分のアイデンティティに寄与しているかを実感することとなります。そして、手足の感覚の消失にもまけず、なんとか絵を描き続けます。そしてあるとき、描いていた絵の一枚が、ある奇跡を引き起こすこととなります。
最後に
このレビューを書いている時点ではまだこのエッセイは完結していないのですが、近いうちに完結し、単行本が出る予定です。ポジティブ難病エッセイとして、そして人間の持つしなやかな強さを見せつける漫画として、申し分ない出来です。ぜひ読んでみてください。
ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!/たむらあやこ
ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!/たむらあやこ – モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ
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